教員インタビューの連載も二回目ですね。
今回は、今年から新設された芸術表現・アートプロデュース学科クリエイティブライティングコースの新元良一先生です。
新元先生は、翻訳、エッセイ、コラムなどの文筆家として、世界を股にかけて活躍されている先生です。
先生自身も、数々の著名人にインタビューされている先生なので、少々緊張気味でお話を聞きに行きました。
早速ご覧ください。
Q1:文筆家として活躍されていますが、そもそもこの道を目指したきっかけは何ですか?
A:とにかく本が好きなんですね。
家族によると、朝起きて寝床で本を読む子だったそうです。
そして、本を読んでいるうちに自分でも書いてみたくなった、それがきっかけです。
Q2:New Yorkに22年間住んでいらっしゃったそうです が、NYに行った当初は、アメリカの政治にはさほど関心が無かったと著書で拝見しました。では、なぜNYという街を選び、生活しようと思ったのですか?
A:前々からある意味でアメリカには興味がありました。
私の世代は、アメリカ文化を本当にたくさん吸収した世代です。
ポップカルチャーですね、ドラマやディズニー、音楽、映画など。
その中から貰ったアメリカのイメージがどんどん膨らんでいって、
本当はどんな場所なのか、自分自身で確かめたいと思っていました。
そして、小説が好きなので、作家がいる街ということで、ニューヨークに落ち着いたわけです。
色々な国の人が集まる街で、NYは懐が深い。
好きな事を話したり、実際に自分の思ったり、希望していることを行動に移せる。
そうしたチャンスを多くの人に与える印象を、ニューヨークに感じました。
NYの文化とは、外に目を向けて他の人を受け入れる文化です。それはとても刺激的です。
Q3:アメリカと言うと、やはり9.11の事を思い出してしまうのですが、9.11があった事で何か意識は変化しましたか?
A:そうですね。社会の様子、政治のあり方に興味を持ち、アメリカの良い所、悪い所を20年近く住んで分かり始めた時、あの事件が起こりました。
事件が起きてから、我々が使っている自由とは何なのか。
「自由」という言葉に対して使いづらくなりましたね。
人間の憎悪、貧富の差や考え方の差が、そこに結びついたとしたら、自分はまだまだ考えなければならないとは思いました。
人は一緒にいると楽しい、でも一方で、考え方の違う人とどうやって折り合いをつけるかというのが、今の問題だと思うんですよ。
それが今の時代、なぜ暴力に走るのかと考えますが、未だに答えは出ないです。
でも、考える事は大切だと思います。
そして、それらを考えることは、おそらく際限のないものでしょうね。
9.11の事については、何らかの形で、いつか書いてみたいと思ってい ます。

Q4:文章を書くのは、情報を吸収し、展開し相手に伝えること。話すという直接的行為ではないので、文章で伝えるのは難しいと思うのですが?
A:言葉は人にとても大切なものを与えてくれる反面、怖い所があります。
自分が意図した事以外の事が伝わるという事は、本以外でもあります。
全然違う捉え方される事もあるかもしれないですね。
あるいは、軽い気持ちで書いたものが、傑作だと捉えることもあるかもしれない。
そういう意味も含めて、言葉の力というものは、ものすごく巨大です。
自分の意図した以上のものが、出てくる可能性がある。
言葉の定義を突き詰めるのは難しいだけれど、私自身、言葉を使って生きてきて、情熱を燃やしてきた人間です。
どうすれば相手に感じてもらえるか、そういう文章を考えていきたいと思っています。
Q5:なぜ、芸大に作家やジャーナリストを目指す為のコース(本学ク リエイティブライティングコース)があると思いますか、またそこで何を学んでもら いたいですか?
A:表現には色々あります。
自分の伝えたいこと、考えていることをゼロから作っていく、それが 「造形」であるとしたら、
自己表現の手段が「言葉」であってもいいわけです。
「美しい、素晴らしい」と言う気持ちを、そうした誰もが使いたくな る言葉でなく、自分の言葉、自分の表現で人に伝達することは大変だけれどやりがいがある。
それを学生に感じ取ってもらいたいですね。
この大学の良い所は、社会とのつながりがある点です。
自分達の作ったものを社会にも伝えていく、社会にあるものも自分達の中に取り込んでいき繋げていく。
その中での言葉というものは、かなり有効的な表現媒体です。
社会との繋がりの中での表現という事では、使うものは言葉だけれど、「造形」の意味で、日本画や写真、映画などと共通しているだから、ユニークな点を最大限に活か し、色々な学科とリンクできていけたらもっと可能性は広がります。
そういう意味で「言葉」による表現というのは、芸術大学にあって価値が見出せますよね。
学生には自分の言葉を見つけ、それを外に出してほしい。
言葉は、自分なりの方法で発見できる事を、ぜひ学びとってほしいと思っています。
Q6:最後に、受験生にメッセージをお願いします。
A:自分の言葉を見つけてください、そのための仲間がここに、このコースにいます、そのための教員がいます。
つながりの中での言葉は大事です。
独りよがりにならずに、人に読んでもらう文章を書いてほしいですね。
それを身につける良い場所だと思います。
初めて新元先生にお会いして、お話させていただきました。
興味ある内容ばかりで、時間があっという間に過ぎてしまいました。
先生の著書「アメリカン・チョイス」は色々と考えさせられる一冊で した。
先生の著書にある言葉や、今日のインタビューで言葉には計り知れない「力」があ
り、可能性があるのではないだろうかと改めて思いました。
これから先生の著書も楽しみです。
次週もお楽しみに!!
投稿者:鈴子(3年生)
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